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ひがしやま動物病院 東山院長が語る「そのやさしさ、本当に合っていますか?」【インターペット東京2026 Talk Session 02.】

「体に良いはず」と思って続けていることが、実はその子にとって負担になっているかもしれません。
インターペット東京2026のHAPPY DOG・HAPPY CATブースでは、ひがしやま動物病院 院長 東山哲(ひがしやま さとし)先生をお迎えし、「無理をさせないケア」について、ワールドプレミアム代表佐藤と対談しました。


愛犬・愛猫が穏やかに過ごすために大切な考え方を、獣医師として、そして愛猫家としての視点から、わかりやすくお届けします🎙️🐈‍⬛✨

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-お二人はどのようなきっかけで知り合ったのですか

佐藤: 12月に沖縄から「つゆ子」という、梅雨に保護された保護猫ちゃんを家に迎えました。片方の腎臓の尿管が詰まっていて、尿管結石ということで腎臓がパンパンに腫れている状態でした。どの獣医さんに相談しても「それをどうしよう」というところまで回答していただける獣医さんがいらっしゃらなくて。

なので11月にねこ医学会が開催している「猫の集会」に一般枠で参加しました。その時はまだ東山先生にお会いできなかったのですが、1月の猫医学会の説明会にお邪魔して「つゆ子の主治医を探している」と相談しました。すると東山先生が快諾してくださり、つゆ子の主治医が東山先生になりました。

ひがしやま動物病院 院長 東山哲先生とワールドプレミアム株式会社 代表佐藤の対談の様子

-初めてつゆ子ちゃんを診察した時の印象はどうでしたか。

東山先生: めちゃめちゃ可愛い子でした。獣医師なのでそこは置いておいて、ちゃんと病気の診察をしました。いくつか選択肢を提案して、少し入院してやってみることにしました。

-経過はどうですか。

佐藤: 経過はすごく順調です。ただし、経過観察ではあります。

-腎臓病の猫は多いのでしょうか。

東山先生: 若くても腎臓が悪くなることはあります。つゆ子ちゃんのように若い子もいます。年齢を重ねたからというわけではありません。老齢性で腎臓が萎縮するタイプが一番有名ですが、結石や遺伝病などもあります。若いうちから腎臓部分は触診でわかることも多いので、定期的な身体検査が若いうちからも大事です。

-定期的な健康チェックを習慣化するのがいいかもしれませんよね。

東山先生: おっしゃる通りです。病気になってから行くのではなく、定期的な健康チェック、ボディチェックを若いうちからやっておくことで病院にも慣れる。行く度に痛いことではなく、おやつをもらったりして慣れることで、医療が本当に必要なシニア期にあまり緊張せずに落ち着いて血圧測定や身体検査、血液検査ができます。行き慣れた場所は心地よい空間になるので、飼い主さんにとってもワンちゃんや猫ちゃんにとっても大切です。

– 保護猫は人への警戒心があったり、落ち着かないことがありますが、つゆ子はどうでしたか。

東山先生: 全く苦労しませんでした。多分つゆ子ちゃんのキャラなんでしょうね。緊張して固まる子もいれば、動じない子っていうのもいます。

佐藤:うちの娘に似てます(笑)

-飼い主が良かれと思ってやりがちでNGなことがあれば教えてください。

東山先生: 獣医学の知識もブラッシュアップされて、昔の常識が今は非常識になることがよくあります。例えば「猫を病院に連れてくる時は洗濯ネットに入れてください」というのはあるあるですが、やっぱりちょっとおかしいなと。猫の目線でいうと動けない、身動きが取れない、拘束されている感覚になります。獣医師側は洗濯ネットに入っていてもらえれば体重測定や吊るしたまま注射とか、ねじって動けなくしたところで注射などなんでもできるので便利だったのでしょう。でも今はもう「脱・洗濯ネット」です。

佐藤:つゆ子、洗濯ネットに入れて沖縄からやってきました!

東山先生:ちょっと信頼できないキャリーの場合などやむを得ず使うことがありますが、快適な方法ではないですね。

-つゆ子ちゃんが先生の病院に診察に行く時はどのようにして?

佐藤: つゆ子はそのままキャリーに入れて連れて行きます。

東山先生:キャリーの選択が良かったですね。つゆ子ちゃんは沖縄からの嫁入り道具として、知識のある方が選んだ良いキャリーを使っていました。最近は透明な丸い窓がついた可愛いタイプのものが流行っているんですけど、猫にとっては隠れる場所がなくて怖い。その緊張した状態で診察することになってしまう。見知らぬ景色や匂い、声は不安を増します。半分は覆われ、上部がメッシュになっているもの、前と上に扉がついているものだと、猫ちゃんを外に出さずにキャリーごと診察台に置いて中で身体検査ができます。

-猫の診察は犬と違う点が多いのですか。

東山先生: 基本的に犬のように「はい、出して体重を測って、じっとして」とはしません。まずはキャリーの中の猫ちゃんを観察します。猫ちゃんにバレないように、精神状態や呼吸の状態など、触らなくても見える・聞こえる情報で健康状態をチェックしてから身体検査に移ります。

– 飼い主として、ついつい、よくなって欲しくて頑張りすぎてしまうことがある。どうしたら良いでしょう。

佐藤:お薬をあげなきゃいけないとき、まじめな飼い主さんほど無理やりあげちゃったりするかもねって思いました。私は「今回のごはんの時はいいかな」とかスキップしちゃったりしています。

東山先生:猫の飼い主さんの方が犬の飼い主さんよりきっちりしている方が多く、薬の時間を守ろうとして無理やり与えてしまって、嫌がられちゃう。1日1回の薬は長く効く薬なので、12時間きっちりでなくても大丈夫です。毎晩9時に苦いものが混ざったおやつが来るという「イベント」にしない方が良い。8時半にも9時にも9時半にも10時にもおやつが来て、どれかに薬が入っている、くらいでバレないのが理想です。最近は苦味や匂いを包むようなおやつがあります。

佐藤:この時間に絶対、と気張らなくていいんですね。

東山先生: 診察室でも良くあるんですけど、猫ちゃんが緊張してるとやっぱり飼い主さんも緊張している。飼い主さんがリラックスしてると猫ちゃんもリラックスしてる。シンクロするんですね。この緊張をほぐすと飼い主さんもリラックスできて、ちゃんとお話ができたり。まずは飼い主さんが緊張せずにいることが大事ですね。

– 猫ちゃんワンちゃん両方飼ってる方も多いと思うんですけど、何か注意点とかありますか?

東山先生: 犬と猫は大きさや外見が似ていても、体の中身も心理も考え方も違います。同じ接し方はできません。一緒に飼うととても楽しいんですけどね。例えば猫は高いところに行きますし、テーブルに乗っても犬ほど叱られないことが多い。犬が乗ったら大変なことになっちゃいますよね。怒られちゃって、犬のプライドが傷つくこともありますね。通院でも、病気でなく健康診断や注射のときであっても、犬と猫を同時に連れていくのは基本的にNGです。猫は待ち時間が長くなるとストレスが大きく、猫にとってのストレスはすごく危険なものなので配慮してあげないといけない。「キャットフレンドリー」な考え方が重要です。

-キャットフレンドリーとは何ですか。

東山先生: 約10年前に海外の国際猫医学会で提唱されたもので、猫にもっと良い医療を提供するため、獣医学面だけでなく猫の心理や飼い主さんの気持ちにも寄り添う必要があったんじゃないか、猫に優しい環境作りを病院でも工夫していきましょう、という考え方・取り組みです。取り入れている病院は増えています。

佐藤:東山先生の病院は本当に猫ちゃんに手厚くて、待合室にブランケットが置いてあるんですよ。猫ちゃんが目隠しに使って安心できるように。あとはワンちゃんと猫ちゃんの待合の場所も分けられていたりとか。

-日本と海外とではキャットフレンドリーはどちらが発展していますか?

日本はまだ遅れている部分もありますが、日本ならではのやり方もあり、ここから世界に新しいキャットフレンドリーを発信できると良いなと思います。

-先生ご自身の愛猫について教えてください。

東山先生:今は黒猫と暮らしています。東京オリンピックの前に、都内の野良猫を保護する東京都の取り組みで保護された子です。今は推定5歳くらい。幼少期をあまり穏やかでない環境で過ごしたせいか、非常に警戒心が強い。病院に来るどの子よりも警戒心が強く、なかなか大変な面もあります。

-ご自宅でのケア、例えば歯磨きはどうしていますか。

東山先生:猫の歯磨きは、基本的に歯石がつきやすい場所は上の奥歯です。他はほとんどつきません。口内炎や歯周病があると唾液がべたべたして菌も増えてつきやすくなりますが、綺麗な健康な口であればほとんどつかないです。ただ、ウェットフードのあとはちゃんと取ってあげないといけない。僕ら人間は舌でだいたいほとんどの歯に舌が届きますけど、猫ちゃんはできない。奥歯を舐められない。そこに溜まってしまうので、飼い主さんがシートでもいいし、綿棒でもいいし、短い歯ブラシもありますので使ってください。最初は口の中に入れないで、綿棒や歯ブラシで気持ちいいところ、顎下とかほっぺたとかを撫でて仲良くなってもらって、その歯ブラシがたまに口の中に入ってきても驚かないようにします。犬も猫も48時間ほどで歯石化が始まるので、2日に一度どこかで歯に当ててあげれば良いです。

佐藤: つゆ子はウェットフードに変えたら顎ニキビができました。基本的につゆ子は私から逃げるから捕まえられないんですけど、無事捕まえられた時は拭くようにしています。

東山先生:顎の下は猫が自分で綺麗にできない場所の一つです。ほとんどの場所は自分で綺麗にできるんですけど、食べているときに汚れがつきやすく、ここは汚れが溜まってしまう。毛穴に細菌感染が起きると、いわゆる顎ニキビになることが多いです。

佐藤: つゆ子は私から逃げるので捕まえるのが大変です(笑)。病院に行く時もだいぶ前からスタンバイしていないとで。寝てるタイミングを狙うとか。あまりにも逃げるのでどうしたらいいですか?

東山先生: 予約制の病院が増えているので、予約時間に間に合わない「捕まらない問題」はあります。普段からキャリーを寝床として使ったり、おやつの場所として使ったりして、キャリーを拠点にするのが良いです。2つあってもいいと思いますしね。「今日はこっちに入って」といった練習も有効です。

佐藤:いつかつゆ子が寄ってきてくれることを夢見てます(^^)

東山先生:キャリーの中で寝ていたおかげで震災の時に助かったような子もいるので、通院のためだけでなく、いざという時に安心できる場所だと学習してもらえると良いです。

-最後に、佐藤社長から先生へ質問はありますか。

佐藤:その子にあった食事っていうのを知る上で、食事を選ぶポイントだったり、おすすめやアドバイスをいただけると嬉しいです。

東山先生: 今はいろんな会社がいろんなフードを出しています。ワンちゃん、猫ちゃん共通して肉食動物です。猫は超肉食動物なので、犬よりも高いタンパク要求があります。日本では魚の香りが嗜好性を引き出すので使われることが多いですが、基本は動物性タンパクが重要です。大豆タンパクより動物性タンパクのほうがアミノ酸バランスが良いですね。

佐藤:HAPPY DOG・HAPPY CATは「フード全体のタンパク質量に占める動物性タンパクの割合」っていう言い方をしていて、ハッピーキャットってだいたい80〜90%は動物由来のものなんですね。表示ルールは日本でも海外でも統一がなく、「生肉たっぷり」といってもほとんどが水分なので、フード全体のタンパク質量に占める動物性タンパクの割合がどれくらいかを見るのが理想です。

-先生にとっての「Love is…」 を教えてください。

東山先生:「Giveのみ」。愛っていうのは素晴らしいことなんです。受け取る方も嬉しいですが、与える方だって嬉しいんです。その時間とかあげた自分を誇らしく思えるものだと思います。わんちゃん猫ちゃんたちが与えてくれているのはまさに無償の愛ですよね。

佐藤:本当素敵ですね。東山先生の何が素敵かって、すごいポジティブなんですよ。うちの子は2年ぐらい野良で人間のものや炭水化物多めのもので育って太っちゃって、いいものあげたいんだよねという話を先生にした時に、先生は「太ってるってことは、その分美味しいものを食べてたんですよ」って。そういうことをよくおっしゃるんです。

-佐藤社長にとっての「Love is…」もお願いします。

佐藤:はい、私が思うのは「ひがしやま動物病院」です!先生だけじゃなくて、看護師さんの方々も本当に優しくて愛に溢れてるんです。お友達の猫ちゃんがお引越しで四国の島まで移動する際に、お外が苦手な子なのでどうしたらいい?と先生におうかがいしたら、キャットニップをおすすめされて。それで無事にゆっくりおやすみしながら新幹線で移動ができたんです。いろんな方法で対処があるっていうのを教えてくださるのがありがたいです。

-最後に先生から飼い主の皆さんにメッセージをお願いします。

東山先生:病院通いをされる方を相手にすることが多いのですが、病気じゃない時のキラキラした時間をしっかり大切に過ごしてください。そのために、良いご飯、良い健康チェックは不可欠です。帰ったらワンちゃん、猫ちゃんのためにできることを考えて、やってあげてください。

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ひがしやま動物病院 院長 獣医師 東山哲先生

山口大学農学部獣医学科卒。

兵庫県西宮市・東京都国立市で勤務医を経験後、2006年に東京都杉並区でひがしやま動物病院を開院。

キャットフレンドリーの概念に感銘し、日本での普及と診療への導入に注力。

著書『うちの猫を100倍幸せにする方法』ほか、専門誌・学術誌で多数執筆。

2026年より東京都獣医師会杉並支部副支部長を務める。

ひがしやま動物病院:https://www.higashiyama-ah.com